|
友 伸平さん |
室内の温熱環境に関わる仕事に興味を抱いて、それを生業として早いもので40年、空気集熱式のソーラーシステムの開発・製造に関わって20年が経過しました。
私が開発に関わった当初の空気集熱式ソーラーシステムは、第二次オイルショック後に省エネの目的も含め、太陽熱で心地よい暖房を!の考えでスタートしたものです。これは、太陽熱で屋根上の金属板を暖めて、暖まった空気をハンドリングボックスという機械で家の中に導き、さらに床下を通して家中に温風を行き渡らせて家中を暖かくするという画期的なシステムでした。 |
しかし、率直に言うと、この当初の空気集熱式ソーラーシステムは、冬は良いのですが夏場に少々問題がありました。ハンドリングボックスにより屋内に一度暖まった空気を取り込んでから排気をする構造上、夏場の特に早朝から夕方まで、熱気で家の中がすっかり暑くなってしまうことが少なくないのです。
冬は快適なこのソーラーシステムを、なんとか夏も同じくらい快適にしよう!これがシステムの開発者の一人としての私の課題でした。それはつまり夏の暑さを屋根の上で排気してしまい、家の中には全く取り込まないシステムということです。この取り組みは長い年月を経て、次世代ソーラーシステム 「そよ風」 としてようやく実を結んだのですが、それはまさに改良に次ぐ改良の歴史でした。
まず、夏の昼間に暑くなった家を夜間に涼しくしようと考えました。夏の朝に外に置いた車の屋根にびっしりと露がついているのを見かけます。外に置いた車の金属屋根はまわりの空気よりさらに冷たくなって露が付く。これは放射冷却による現象です。この現象を家屋の屋根に利用し、夜間に涼風の取入が可能なシステムを開発したのです。このシステムは 「OMソーラーシステム」 として広く世に知られるようになりました。
この改良により夏でも夜間は涼風が入るようになり、非常に過ごしやすくなったのですが、昼間は従来通り熱気が屋内を通って外に出ているのでやはりまだ暑い。更なる涼しさを求め、次は集熱用の棟ダクトを屋外に出すことにしました。この棟ダクトは屋根で暖めた空気を集める部材なので夏場は放熱が問題となる上、屋根裏で大きな体積を占めている。そこで仲間の工務店に施工面で協力を仰ぎながら棟ダクトを無くす工夫を考え、暑さが一挙に軽減しました。さらに、屋根裏がすっきりと広くなり、施工も大幅に楽に確実になりました。
でもまだ夏の熱気はハンドリングボックスという、システムの心臓部とも呼べる機械で家の中へ入れてから外へ出しています。この部分を屋内から無くさないと本当に暑さを克服したソーラーシステムにはならないのではないか。よし!ともかく夏の熱気を家の中に全く入れないシステムにしよう。ハンドリングボックスは本当に必要なのか?そこから見直し、システムを抜本的に作り直すことにしました。
こうして、施工・メンテナンスなどに関するそれまでの経験と技術を統合し、制御系も改めて見直すことで、次世代ソーラーシステムが形となりました。私が追求し続けた“爽やかな心地よさ” を表現する言葉を…という想いを込めて命名した名前は 「そよ風」。ハンドリングボックスは苦労の末、とうとう無くなったのです。
そして、「そよ風」 以前のシステムには無かった室内空気の循環機能を新たに加えることで、夏の日中にエアコンを利用した場合も、その涼風を家中に広げることが可能になりました。まさに真夏に秋のようなさわやかな涼風を、真冬に春のような陽だまりの暖かさを生み出すシステムが実現出来たのです。
ですが、私はこれでソーラーシステムの完成形が出来たとは考えていません。「そよ風」 の更なる進化を求め、試行錯誤はまだまだ続いています。進化し続けるソーラーシステム 「そよ風」 の今後に、ぜひ期待していただきたいと思います。
|
|