「けい酸カルシウム板」 、通称けいカル板は、昭和30年代の建築ラッシュに生まれ、内装間仕切りのボードとして重宝に使われていた建材だ。15年ほど前に、健康問題により脱アスベスト製品に生まれ変わったが、以前のけいカル板が持っていた、粘る、曲がるという性能が再現できずにいた。
2002年に三菱商事建材が発売を開始した 「モイス」 は、アフリカで産出する粘土鉱物の一種バーミキュライトを主原料に、国産の珪砂 (けいしゃ)、消石灰、パルプ繊維を混入して、高温水蒸気下養生 (オートクレーブ) し、接着剤を使わずに成形したボード。吸着性、吸放湿性があり、粘り強く曲がる性質で加工に向き、不燃性、耐力も持ち合わせるという多機能ボードだ。
塩地博文さん
塩地博文さん
「つまり健康障害もなく、かつての製品が持っていた多機能パフォーマンスを再現したのが、この 「モイス」と言えるでしょう」 と三菱商事建材モイス事業部の塩地博文さんは話す。
「調べてみると、モイスは空気中の湿度が70%以上だと吸湿し、40%以下だと放湿しています。土壁のような自然な吸放湿性があるんですね」
そのまま室内にあらわしで使える仕上げ材でもあり、その場合は吸放湿性をフルに発揮し、保温性を備え結露も防ぐ。揮発性有機化合物 (VOC) を吸着、分解する機能も持つ。 「ですからLLBの家のような覆わない、仕上げとしての使い方がいちばんいいんです」
「この建材のマルチさは、床、内外装の壁、天井とあらゆるところへの施工を可能にします。つまり家を構成する部品の数を減らすことができる。いま住宅が壊された時に出る廃棄物で問題なのは、分別が難しいということ。部品が少なければ分別はしやくなります。またこのモイスは使用後は土に戻すことができ、肥料として使用することもできるんです」
その機能性が注目を集め、売り上げが予想以上に伸びているため、量産効果が価格に反映されはじめているという。白い色調とマットな質感は漆喰を思わせる。なるべく環境や健康に配慮した建材、しかも美しいものを使いたいというシンケンの家づくりにとって、理想的な建材だと言えるだろう。
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